リリースに向けた品質確認試験について
前述の通り、ルネサス製MCU(Rx231シリーズ)へのファームウエア移行に関するご依頼を頂き、準備を進めてきました。形になってきましたので品質確認試験の項目を抽出するときの考え方についてまとめてみました。
1.用語の整理
開発した機器の量産リリースを判断するためには以下の1. と 2.の結果をレビューし、可否を判断します。「検証」と「妥当性確認」を合わせて品質確認試験と言います。
- 要求仕様書やデータシート等に明示された要求事項を満たしていることを確認する 「検証」
- 顧客が本来要求している用途や使い勝手など、仕様書には表れにくいことを確認する 「妥当性確認」
2.検証計画の立て方
投入計画(検証項目、条件、投入数)を立てるときの考え方を以下に示します。
- 検証項目および判定基準は、お客様との間での約束した製品性能を示す納入仕様書、データシート、顧客との約束(口頭を含む)からピックアップし、レビューを行い決定します。製品認証に関連する項目(製品安全、EMC/EMI)や、過去のトラブル事例への対策確認などもこの中に入ります。
- 製品と同じプロセスにて制作した試作物を用いて、定めた仕様値を満たすことをデータにより示します。データは、実機による試験結果の他に、設計(シミュレーション)により得られた最悪条件の時の値、部品メーカが提供したデータ(試験成績書など)も含まれます。
- 試験の条件は電源電圧と動作周囲温度をマトリクスにして組合せを決めます。両者の最大値/最小値の4コーナーと常温・電源電圧狙い値(例、+3.3V)を含めた5条件をスタートにして検討します。
- 試験に投入するサンプル数も計画します。投入数は多い方が望ましいですが、コストとのトレードオフになりますので、3台を目安にして結果を踏まえて追加投入した方が良いと考えます。
3.妥当性確認計画の立て方
顧客が本来要求している用途や使い勝手を、発生したときのインパクトが大きいこと(怒るかどうか)に置き換えて妥当性試験を組み立てます。
- NITE(製品評価技術基盤機構)が公開しているリコールの情報では、電子機器におけるリコール原因の第一位は火災となっていることから、過電流に対する保護回路の作動し火災なきことの確認が項目の1つ目と考えます。
- JIS C 62368-1 規格の適語確認書を参考にしてセーフガード毎に項目をビックアップするのも良いと思います。(項目数が多いので)
- 顧客が使用するであろう期間(例えば、5年)内で装置が停止しないことの確認が次にあげられます。寿命部品(レーザダイオード、アルミ電解コンデンサ、ファン)が劣化しないことを確認します。放熱シートの変質もありますので、放熱対策をしているからOKとは思わずに1台でも良いので実機による長期動作試験を行います。
- ファームウエアのバグにより突然停止することもありますので、2週~4週動作させて予期しない初期化をしないことを確認します。

